企業分析ナレッジ

シスメックス 高い売上高利益率と攻めの経営の従業員数増加 

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今回は、シスメックス株式会社を分析してみましょう。シスメックスは、神戸市中央区にある臨床検査機器・検査用試薬・粒子分析機器ならびに関連 ソフトウェアなどの開発・製造・販売ならびに輸出入の会社です。一般の方にはあまりなじみのない会社かもしれません。

それでは分析をみていきましょう。

 

企業力総合評価は169.92→169.87→168.87→156.06→165.08と推移しています。リーマン・ショックでは168.87から156.06へと12.81ポイント下げ、悪化成り行き倍率8年(同じトレンドで企業力を下げたらあと8年で60ポイント以下の破綻懸念領域へ行くという指標)を付けています。

企業力総合評価の凹みは下位各親指標の凹みの大きいものを探せばわかります。この場合は流動性です。珍しいですね。最近の過去のNEWSで取り上げた多くの優良企業は、営業効率の下落をカバーするかのように流動性を上げています。

営業効率(儲かるか指標)・資本効率(資本利用度の指標)は2009年以外は天井値を打っています。とても利益が上がる会社のようです。

生産効率(人の利用度の指標)は2007年以外悪化トレンドです。従業員を増やす攻めの経営を貫いています。

資産効率(資産の利用度指標)は、良くも悪くもありません。

流動性(短期資金繰り指標)は2009年までは悪化、2010年反転しました。青信号内での悪化・改善です。

安全性(長期資金繰り指標)は天井値に近い、高いレベルを安定的に推移しています。

営業効率の下位指標を見てみましょう。

売上高経常利益率も2009年を除き13%台で推移しています。

売上高総利益率が4年間で5.23%上げました。かなり、立派な数字ではないでしょうか。5年間の推移をみると、その会社が何に取り組み、成果を上げてきたかが明確にわかります。

シスメックスの生産効率は悪化トレンドです。就業者(正社員と臨時雇用の正社員換算した人数の合計)を増やしています。攻めの経営をされていることがわかります。

それでは、就業者の地域区分別の増減、正・臨時割合を見てください。日本国内の人数は増えていますし、正社員割合も高くなっています。正社員を雇って、腰を落ち着けて仕事をしてもらいたいという会社の姿勢を感じます。利益を出すために日本人の雇用を減らし、臨時雇用割合を増やす会社が多い中、長期視点にたった経営をされていることがよく分ります。

 

まとめ 

数字というのは無機質です。しかし、数字を読んでいくと、そこには、人の決意、意思、行動、結果が表れます。

シスメックスが、人の健康を守るため、これからも素晴らしい経営をされていくことを応援します。

SPLENDID21NEWS第65号【2011年4月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

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山本純子
株式会社SPLENDID21 代表取締役。企業評価・経営者評価のスペシャリスト。多変量解析企業力総合評価「SPLENDID21」というシステムにより、通常の財務分析ではできなかった経営全体を「見える化」するシステムを提供。 近年では様々な企業が本手法を利用して莫大なデータより有用な情報を引き出し、実際の経営に役立てています。 代表者プロフィールはこちら
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